【みらいzoom45】キャリアパスポートに、親としてどう関わるか?
2022年04月05日 更新
キャリアパスポートを家に持ってかえってきた。
保護者のコメント欄がある。
「何を書こう?」
「そもそも、これ、なんのためにあるの?」
そう思っている保護者の方、いらっしゃいませんか?
そんな保護者のみなさんのヒントになるよう、キャリアパスポートへの親の関わりを紹介します。
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●目次
・キャリアパスポートとは何か
・キャリアパスポートにどんなコメントを書くか
・キャリアパスポートにはどんな意味があるのか?
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●キャリアパスポートとは何か
キャリアパスポートとは「子どもたちが自らの活動について、学びのプロセスを自身で記述し、蓄積した記録を振り返る」ことができる【ポートフォリオ教材】です。
【2020年4月より全国で導入】がスタートしました。
私は、2018年度に実施された「キャリア・パスポート」導入に向けた調査研究協力者会議に協力者として参加しました。
キャリアパスポート導入の背景として、新しい学習指導要領があります。
2020年より小学校、中学校と全面実施され、いよいよ2022年は高校が全面実施となります。
この新学習指導要領では、小・中・高校を見通した、かつ、学校の教育活動全体を通じたキャリア教育の充実が新たに求められるようになりました。
その取り組みの中核となるのが【特別活動】と呼ばれる学級活動であり、ホームルーム活動です。
【特別活動】の時間において、自らの学習状況やキャリア形成を見通したり振り返ったりしながら、〈自身の変容や成長を自己評価できるようにするための教材〉が「キャリアパスポート」です。
ここで言う「キャリア教育」とは、職場体験やインターンシップ、進路指導ではありません。
文部科学省では、「キャリア教育とは、一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」と定義付けしています。
さまざまな教育活動を通して、一人ひとりの基礎的・汎用的能力の発達や育成、職業人としての自立を促すことが、キャリア教育の目的です。
※文部科学省(https://www.mext.go.jp/apollon/mod/pdf/mext_propulsion_20180223.pdf)より抜粋
●キャリアパスポートにどんなコメントを書くか
キャリアパスポートは、以下の3つの視点で振り返り、見通しが持てる内容になっています。
A. 教科学習
B. 教科外学習(学校行事、児童会活動・生徒会活動・クラブ活動など)
C. 学校外の活動(ボランティア等の地域活動、家庭内での取組み、習い事など)
当たり前ですが、子どもたちは授業だけで学んでいるわけではありません。
学校行事や係活動などの授業外の学習に加え、学校外の家庭、地域での体験も学びになります。
その多様な経験を一人の子どもの中で【学びとしてつなげていく】ことが大切です。
そこで、「C. 学校外の活動」は、保護者の出番です。
コメントを書くことが目的ではなく、
子どもたちの家庭や地域での体験を学びに変えたり、価値づけしたりすることが目的です。
つまり、家庭や地域で取り組んだこと、チャレンジしたことで、
成長したこと、変容したことを子どもに伝えたり、一緒に振り返ったりして、学びにしていくことが必要なのです。
「学びにしていく」ためには、新しく得た知識や考え、スキルなどを、
自身の言葉で表現するなどして、認識するいくことが必要です。
書くだけでなく、「その活動を通して、何に気づけたか、何を身につけられたか」などを
子どもに問うて、一緒に子どもの学びを共有することをおすすめします。
その上で何を書くかというと、
家庭や地域での取り組みにおける、保護者から見た子どもの成長や変容を書きます。
スペースがあれば、結果の成長や変容だけでなく、「プロセスにおける努力・工夫」なども記載できると良いでしょう。
例えば、家での仕事について、
「今期は、毎日お風呂洗いをしました。習い事で遅くなる時は、朝にやるなど、自分の予定を考えた工夫ができるようになりました。自分も家庭の一員であり、家事を担うという責任感が増してきました。子どもの家庭への貢献が嬉しく頼もしいです。」
など【成長したところ】とくに【身に付いた力、それに至る工夫や頑張り】を書いてみましょう。
そして、親としての気持ちや期待感などもあったら伝えると子どもは「引き続き頑張るぞ」という意欲につながるかもしれません。
そのためには、【子どもと地域や家庭での目標】を一緒に考えたり、【子どもが定めた目標】を聞いて確認しておく必要がありますね。
合わせて、こちらの記事もご覧ください^^
●キャリアパスポートにはどんな意味があるのか?
【キャリアパスポートは、学年、校種を越えて使い続ける】ことができるものであり、【小学校入学から高等学校卒業まで】の記録を蓄積する前提で作成しています。
つまり、12年間も使い続けるものであり、このキャリアパスポートを書き終えるのは18歳の時です。
変化の激しいとされる時代において、18歳、成人として社会で歩み出す我が子に対し、どんなメッセージをもって送り出したいですか?例えば、私はこんなことを考えました。
「あなたは大丈夫。今までこんなチャレンジをしてきたよ、こんな風に積み重ねてきたから、困難があっても乗り越えられるよ」
こんな【ギフト】になるようなキャリアパスポートにしたい!
12年の歩みや頑張りを少しずつ伝えて、18歳で成人になった自分の子どもの自信となるようなメッセージ集になったらよいなと思っています。
それに対して、自分の子どもからこんな言葉がかえってきたらよいなと想像を膨らませます。
「進路を決める時に、キャリアパスポートをふりかえり、自分の価値基準を明確にすることができたよ!」
「何か夢中になることややりたいことが見つからなくて悩んでいたけど、小さい頃にこういう人になりたいと思っていたことや世界に対する願いを思い出した!」
「今まで頑張ってきたことがキャリアパスポートを通して振り返れた。自分を信じてみようと思った!」
そんな風に言う18歳の自分の子どもをイメージしたら、今、目の前の子どもの頑張りがとても尊いものに思えてきました。
みなさんは、18歳になったお子さんにどんなメッセージを伝えたいですか?
それをどんな風に受け取ってほしいですか?
そんな未来のイメージを描いた時、今目の前にいるお子さんに何を伝えたいですか?
少しだけ未来を想像してから、キャリアパスポートを書いてみることをおすすめしたいです^^
【みらいずworks 代表理事 小見まいこ】