【みらいzoom42】人材確保から人材育成へ 協働のはじまりとは?
2022年02月09日 更新
●はじめに
【「人材が採用できない」という根深い悩みを持っている企業が多い】
という切実なご相談を受け、新潟県中小企業団体中央会主催の「人材確保セミナー」に講師としてお邪魔してきました。(といっても、2021年の12月17日ですが)
学校が企業に求めていることやアプローチ方法、学生の職業観や関心のある事柄を伝えてほしいというご依頼に対して、以下のような内容でお話をしました。
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・社会の変化と学びの変化
・学校の課題と協働の必要性
・高校の地域と協働した人材育成の事例紹介
・若者の実態・職業観
・学校・若者との接点の作り方
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●講演を通して気づいたこと
この講演会を通じての気づきを、2つ紹介します。
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①人材確保をから「早期の人材育成」へ
②学校と企業が共通のゴールを設定することで「協働」が生まれる
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①「人材確保」から「早期の人材育成」へ
人材確保を短期的に考えるのではなく、長期的に取り組んでいくことが重要だと考えています。
つまり、高校や大学の採用時に、はじめて若者にアプローチするのではなく、中学生や高校生の時から関わっていくことです。
そのためには、「自社の人材確保」は最終的な結果であり、「地元企業全体の早期の人材育成」に取り組むという発想の転換が必要です。
理由としては【地元の中小企業が人材確保できないという問題は、氷山の一角の出来事】だと考えるからです。
水面下では、
「地元だと自分のやりたいことができないと考える若者が多い」
「地元企業の魅力が知られていない」
「中小企業よりも大企業や名前が知れている企業重視の考えがある」
などの構造や固定観念が潜んでいます。
それに対する手の打ちどころはたくさんあると思いますが、みらいずworksでは、〈中学生の課題解決型職場体験や高校生の地域密着型の探究学習を支援してきた立場〉として以下のような流れをつくりたいのです。
【みらいずworksがつくりたい流れ】
企業で働く人たちが中高生に学びを通して出会う
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一緒に地域の課題解決に取り組む
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中高生と大人の関係性が育まれる
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中高生が地域課題に関わる中で、地元の未来や課題に対する当事者意識を持つ
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高校生や大学生になり、自分たちでプロジェクトを起こす(マイプロ等)
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高校や大学卒業後、地元の企業が選択肢の一つになる
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人材確保につながる
みらいずworksが関わった新潟県内の高校において、地元の青年部の若手とプロジェクトをしていた高校生が、卒業しても青年部の活動に関わりたいからと隣町の企業に就職しました。
全国的にも、島根県、東北では、このような流れで、若者が地元企業に就職をしたり、起業したりする事例も増えてきているそうです。
この流れについて、ぜひ参考にしていただきたいのは、大正大学の浦崎太郎教授のYouTube動画です。
②学校と企業が共通のゴールを設定することで協働が生まれる
企業が早期の人材育成に関わろうと考えた時に、何からはじめたらよいのか?
支援をして改めて感じていることは、学校と企業は、それぞれ互いに関わる上で求めているものが異なるということです。
【学校が企業と関わる上で求めているもの】
・社会体験やリアルな問題・課題
・リソース(専門性・資金・情報)
・伴走やフィードバック
【企業が、学校に求めているもの】
・子ども、若者との接点
・子どもや先生、保護者への認知度向上
・業界や業種の理解や興味喚起
などでしょうか。
まずは、お互いの前提条件や違いを理解し合うことが大切です。
その上で、互いに求めているものは違うけれど、共通で目指せるものは何か?を対話を通して、考えます。
共通目的やゴールを言語化できると、一気に歯車が回ってきます。
例えば『地域の担い手を育てる(地域に貢献したいと思える子ども・若者を育てる)』などを掲げている学校・地域もあります。
その共通目的を紡いでいくことがお互いの利害を超えて、共に人材育成に取り組む上で重要だと感じています。
●まとめ
とはいえ、「協働」はそうそう簡単には進みません。
今、みらいずworksが現場で培ってきた協働の考えやポイントを「協働デザイン入門(仮)」と題して、テキストにまとめている最中です。
今春には発行予定ですので、ぜひ地域や企業、学校の協働に興味のある方は、お手にとってご覧いただきたいです。