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【活動レポート】みらいずカレッジ2019「資質・能力を育むための授業づくりの理論と実践」

2019年11月19日 更新

みなさん、こんにちは!みらいずworksインターン生の齋藤茉子(新潟大学4年)です。

みらいずカレッジ第5回目が、10月27日(日)に開催されました。
中学校、高校の教員や教育関係者の方々、高校生や大学生など総勢15名に参加していただきました。

今回のテーマは、「資質・能力を育むための授業づくりの理論と実践」です。

最初の自己紹介では、参加した動機や今日のカレッジで学びたいことなどをグループで話し合い、場が温まったところで講義がスタートしました。

今回の講師である山本一輝氏は企画会社idea partnersの代表であり、みらいずworksの学びクリエイターでもあります。普段私たちが何となく、理由がわからずモヤモヤしている教育のあれこれを理論づけて講義していただきました。

   

 

以下、講義の概要です。

資質能力を育むためにどのような工夫をすればよいか?という問いを投げかけられ、グループで話し合う。学校ごとで資質能力を定義する、インターンや外部に行って学ぶ…など様々な意見が出た。山本氏は「でも、なんでインターンなどに行ったら子どもたちが変わるのかという理論は知らなくないですか?」と投げかける。

まずは新学習指導要領や社会人基礎力、アクティブラーニングや探求学習の概要やその目的などをおさらいしながら、これからの時代の学びや求められる資質能力について確認。

 

学習者の成長についての考察。
学習(自分は何を持っているのか)は横に横に広がっていくもので、発達(自分はどういう状態にあるのか)は垂直的に広がっていくものである。今までの学校は学習ばかりに重きを置いていたのではないかと指摘。

 

ロバート・キーガンの発達階層を例に、第1段階から第5段階まで紹介。この発達段階は1人の人間が1つの発達段階しかもっていないというわけではなく、領域ごと(仕事、家庭、社会等)によってどの発達段階なのかは変わってくるそう。

精神・知性の発達を促す環境の要素として
 ・学習者にとって非日常的なコンフリクトな環境
 ・混沌を受容しながらも選択や意思決定し行動した経験
    ・自身の行動や考え方をメタ認知し、修正していく
をあげ、これらは教科学習だけでは不十分なため「探究」が重要になる。

 

求められる新たな専門性。
社会が変化し、求められる力も変化し、学びも大きく変化していくなかで教師には以下の3つの役割が求められる。
  ①アクティブラーナー
   …自らテーマを探求し続ける模範となる存在
  ②コーチ
   …正解のない個々の探究活動を支援する存在
  ③ファシリテーター
   …協働的な学びのプロセスを促す存在

コーチングによる支援の前提として、
  ①心理的に健康で健常な発達ができている大人であること
  ②コーチ自身が到達している発達段階の学習者しか支援できない
   例)発達段階が3段階のコーチが4段階の学習者を支援することはできない
  ③自己実現の支援を真剣に行う関りであること
が挙げられる。

 

具体的な実践について(資質能力を育む探究の設計)。
探求学習のサイクルは
 課題の設定→情報の収集→整理・分析→まとめ・表現
によって、自らの考えや課題が更新され探究の過程が繰り返されていく。

つぎに、探究の質を高め成長につなげる「経験学習理論」について説明。経験から成長できる人とできない人の差には、経験から学ぶ力があるか否かが関係。経験学習のサイクルとして、デービッド・コルブの経験学習モデルを紹介。

経験から学ぶ力とは、適切な思いとつながりを大切にし、挑戦し、振り返り、楽しみながら仕事をする沖、人は経験から多くのことを学ぶことができるというものである。

 

具体的な実践について(実践での重要な4つの観点)。
コーチングの基礎的なモデルとして「GROWモデル」がある。
 Goal(目標)
 Reality,Resource(現状・資源)
 Option(選択)
 What will you do(意思)
いずれの段階でもアドバイスをするのではなく、学習者に対しての問いかけをすることが基本である。
問いかけの例として
 「これから実現したい具体的なイメージは?」
 「現状の原因は何だと思いますか?」「状況を教えてもらえますか?」
 「思いつくままにたくさん考えてみましょう。」
 「実現のためにどんなサポートが必要ですか?」

山本氏の「ファシリテーターとコーチは問いのマジシャンである」という言葉が印象的だった。

成長発達につながる振り返りとして「リフレクション」がある。
 
人は経験(事実+感情)を振り返ったときに初めて学ぶのであるため、感情の起伏を伴う主観的な体験をいかに想起させ、言語化するかが重要である。

集団で行うリフレクションの前提として、知識には2つのタイプがある。形式知と暗黙知である。
  ・形式知…見えている知識
  ・暗黙知…モヤモヤした知識、言葉になっていない知識
形式知を重要視しがちであるが、暗黙知は知識の多くを占めているため振り返りの重要性に気づかせてくれる。リフレクションは対話的に集団ですることによって、気づきや暗黙知の言語化、グループの自己組織化につながっていく。その前提として、心理的安全性が必要である。

 
次にフィードバックについて。
フィードバックの目的には情報通知と立て直しがある。基本的に1対1でやるのがフィードバックであり、多少学習者にとって耳が痛いことであってもきちんと通知することが必要。

フィードバック実践のポイントとして、以下の5つが挙げられる。
  ①相手としっかり向き合っているか
  ②ロジカルに事実を通知できているか
  ③相手の反応を見ることができているか
  ④対象者の立て直しサポートをできているか
  ⑤再発予防策を立てられているか

最後に、探究的な学びの評価として「誰が何を見るか」「評価によってどんなメッセージを伝えたいか」をあげて、メッセージは数値で評価できるものではないと指摘した。

午後からは「プロジェクトデザインシート」に、自分が今行っている学びやこれから行おうとしている学びについて記入しました。

プロジェクトデザインシートには、プロジェクト名やプロジェクトの目的、現在わかっている情報、具体的なプロジェクト内容、リフレクション方法、評価方法などを記入しました。個人で記入したあと、発表者とコーチにわかれて「GROWモデル」を使いながら一人一人のプロジェクトがよりよいものなるようにコーチングし合いました。

山本氏からも適宜コーチングをしていただきながら、今までとは違う評価方法に気づけたり、探究での学びをどのように進路につなげていけばいいのか気づけたりした受講生がいました。

コーチングし合うなかで、「コーチングって難しい」「どうやって問いかけをしてあげたらいいのか…」という声もありましたが、「どのようにやるかという知識を知ることも大事だけれど実践が一番大事」と山本氏からのお声がけもありました。

グループでの活動後各グループ代表1人が発表し、変化した点や気づきを発表。午前に学んだ理論を活かしながらワークをしてみることで、受講生のみなさんの学びも深まったようです。

10時から始まった講義もいよいよ終盤戦。レフレクティブ・ダイアローグとして「資質能力を育む学びをデザインするために、これから意識したいこと支援者として今後何をすべきか?(またはすべきでないか)」をテーマに、今日1日の気づき学びを暗黙知から形式知に変えるワークをグループで行いました。知識が可視化されていくことで、グループでの学びも深まったように感じます。

私自身このような勉強会に参加するのは初めてで最初は不安でしたが、新しい気付きや学びが多く受講してよかったという思いでいっぱいです。特に、暗黙知を言語化するという部分は学校だけでなく様々な場面でいきてくると思い、「知った気になってしまっていた」自分を変えていきたいと思うようになりました。

【みらいずworksインターン生 齋藤茉子】