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【活動レポート】みらいずカレッジ2019:オープンセッション!探究学習に向けた“疑問”を探究する!を開催

2019年07月29日 更新

みらいずカレッジ2019「地域と学校で協働してつくる探究学習」

【オープンセッション】探究学習に向けた“疑問”を探究する! を開催しました。

 

2019年7月27日(土)13:30〜17:00

会場は、今回一緒に主催をしていただいている「新潟経営大学」。 

参加者は、高校の管理職や総合探究の担当者、大学関係者、民間企業、大学生など、多様な25名が集ってくださいました。

 

プログラムの内容は、以下の通りです。ゲストのお話の概要もご紹介します。

 

■プログラム案:

①オリエンテーション 新潟経営大学学長 堀 峰生より

 

 

 

 

 

 

 

経営大学では経営学実地研修を実施している。企業の課題について、学生が具体的に解決提案を行う授業。Society5.0社会では、資格だけではだめ。実社会に基づいた実学の学びをしていた学生がこれからは求めらる。

これからどんどん教育が変わる。教員の意識も変えていかないといけない。学生をファシリテートする技量も変えていかないといけない。企業との連携を通して、未来を作る教育を作る、それを支える学びあいのコミュニティに発展していくことを願っている。

 

②チェックイン 近くの人2~3人と簡単な自己紹介/参加の動機等を共有する

グループごとに所属・名前、GOOD&NEWを共有しました。

 

③事例共有「探究学習の取り組みの内容&成果と課題」

*新潟経営大学 渡貫正治 特任教授よりお話

・新しい学習指導要領では、学力という表現を資質・能力に変えている

・経営大学が実施している循環式アクティブラーニングの紹介。グループで討論、自分で体験、相互に教え合う、学修成果を発表という流れを取り入れた経営学実地研究をしている。(高校の探究学習のステップと同じ:事前学習・自問→フィールド調査→体験→掘り下げ→グループワーク→発表。)

・教師の役割は生徒の学習を支援することで、活動の主体は生徒。生徒が能動的になるアクティブラーニングは今度大きな潮流と言える。

 

 

 

 

 

 

 

*新潟東高等学校 早川昌教諭よりお話

 

 

 

 

 

 

 

・総合学習発祥の地である上越市生まれ。総合学習を経験した。イメージだけは持っていた。

・キャリア教育がうまくいっていない現状があった。全国の先進地事例をずっと見て、東高校で今度こそうちでやりたい!と思うように。

・昨年の10月にみらいずworksのサポートがあり、教育目標をもとに、育てたい生徒像を全職員で考えた。学校全体で機運を高めてきた。

・大事なことは人間関係づくり、クラス目標づくりを通して、探究学習をする上での下地作りをした。

・とにかくやってみようと動き出すことに。形になってきたが次々と細かい問題点が発生した。

・他の教員がやるべき細かい調整などをみらいずworksに任せた。担任だからこそできることをやってもらう。仕事内容を選別して、必要なことはきちんとやってもらっている。

・探究学習実現のカギは、管理職のやる気、余裕を持たせた年間計画、進路指導主事と担任団との役割分担、当該学年以外の教員の意識改革、評価方法、できればコーディネーターの確保。

 

*加茂農林高等学校 松井智之教諭よりお話

 

 

 

 

 

 

 

 

・スーパープロフェッショナルハイスクール(SPH)事業の取り組みについて紹介。SPH研究主任。

・SPHは、自立型地域リーダーを育成することが目的。そのために、1年次で学びのレディネス形成、2年次でレディネスを生かして多様な学びを実践する、3年次で多様な学びの集大成として取り組む「課題研究」とステップアップする。

・「学び方ガイドブック」を学校内で作り、書き込むようなシートが載っている。スキルや手法を学ぶためのワークシートを入れている。

 

 

 

 

 

・インプット型連携(講習会をしてもらう。ルレクチェ講習会、農業用ドローンの実演など)、アウトプット型連携(近くの小中学校をお呼びして生徒が学びをもとに指導する)、トレーニング型連携(インターンシップ、デュアルシステム 20名程度の希望制)がある。

・中核的生徒(FS):4名の生徒がシンガポールで研修。国際理解教育プレゼンテーションコンテストで発表し、最優秀賞を受賞し、台湾にいく機会ももらった。SDGSの研修をさせて、他の生徒の指導役となる。FSの生徒は、来年度以降も学校で取り組むべきことを提案させて、波及させる予定。

・生物科生命情報コースが立ち上がって。今まではバイテクコースからカリキュラムの変更をした。探究をテーマとして授業展開を統一して行う。最終的に課題研究をゴールに探究学習をしている。一年生は3時間連続で農家や企業などにバスで行って研修をする。例えば、カーブドッチでワイン醸造所の見学など。

・答えのないテーマを設定して、生徒がディスカッションのための資料を作り、勉強会をして、ディスカッションをして、討論をする。自己評価と他者評価をさせる。人間関係ができていないグループだとわだかまりができてしまうこともある。

・主体的・対話的・深い学びについて全職員に提言した。生徒の課題として、学びに向かう力が足りない→具体的な指導についてまとめて提示。35時間の授業のうち7回はAL授業をお願い。具体的に進め方を提示し、教員にも授業改善を働きかけている。

・多目的5教室をアクティブラーニング室に整備。授業ができるような環境を作った。

 

④パネルディスカッション ★ゲスト:松井先生、早川先生、渡貫先生

グループ内で質問を集め、それを集約したのち、グループごとに質問を出してもらいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<質問>

Q:外部委託、連携することは良いことだと思うが、丸投げは良くない。教員が指導をする時とのバランスは?

→自分が受けた授業を見本にしている人が多い。ほとんど教員が探究については0からスタートする状態。なので、初動を外部委託。こんな風にしてやれば良いのだなと見てイメージをわかせるようにしている。

みらいずworksには来年度は2年生の初動に関わってもらい、1年生は徐々に教員にシフトしていく。経営大学と東高校は包括連携をしている。大学生にとっても高校生のファシリテーターになってサポートすることは学びが大きい。。

教員、外部支援者、地域、どこまでが誰の役割なのか?その地域や学校によって異なると思う。

 

Q:言われたことしかやらない生徒が増えている。新潟県から出たことのない大学生の意識の低さが問題。どうお考えか?

→失敗が許されないから臆病になっていると感じる。だからこそ、授業でも探究学習でも失敗して良いという風土を作るよう心がけている。

→高校入学時にすでに受け身になってしまっている生徒が多い。高校だけでどこまで解決できるか。PDCAサイクルや探究がその解決策になると思う。どうしてそうなるのか?と振り返り、改善するなどの積み重ねをしている。

 

Q:生徒に育てたい資質能力を実現するために授業や学校行事との連動は?カリキュラムマネジメントはどうされている?

→カリマネ表は、早川先生が作った。総合とリンクして、授業の順番を変えるなど工夫してほしいと4月の職員会議で言ったがそのままになっている。今後の課題。

→農業高校で普通科の先生を巻き込んで連携していくのは難しい。基礎的な5教科が身についていないと「農業」という応用科目を学んでいくことは難しい。農業と関連性を持たせて授業展開してほしいと言っている。普通科科目と農業を融合させるように話題をふって、関連性を持たせてもらっている。

→研究授業週間を実施していて、必ず1回は誰かの先生を見て、アンケートに答える。アンケートの回収率はあまりよくないが教務として推進している。

 

Q:探究に対する題材やテーマ設定に対して意識していることは?難しかったことは?

→東高校で地域の声をきく会で地域から東高校生徒と何かやりたいと言われていた。そこで地域に目を向けた課題設定にした。

→教員のセンス。生徒が食いついて来るようなテーマをアンテナを張って仕入れることが必要。地域連携をした方が成果が目に見えて出てくるので、それを中心にテーマを設定する。生徒と一緒に教員も出て行って、その中から課題設定をして、解決策を地域に戻すようにしている。

→正解が出ないような課題設定をしている。答えが一個に偏ると次の展開が面白くなくなるので。

 

Q:学生として経営学実地研修をしてきたが、能動的に動くのは難しいと思った。本当に能動的なのは、学生自信が課題を見つけることではないか?

→グループ学習しても絶対に一人でやりたいという人もいる。一人でどうにもならなくなった時に、助けてもらわないといけないよね、自分で調べないといけないよねと伝えている。無理してグループワークはさせない。やりたくない生徒に対しては無理強いはさせない。

→本来能動的な課題が設定できれば一番良い。本人が課題を見つけられれば良いが、20数年やってきて、生徒自ら持ってきたことは一度もない。基礎的な学力が足りない。世の中に対するいろいろな情報、実践したことのある経験などがないと難しい。知識を情報提供しながら、教員が一緒に考えていく。幼い頃からの体験不足や基礎的な知識不足が原因だと思う。

 

↓新潟経営大学の学生さんが書いてくれたパネルディスカッションの概要です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⑤グループ対話【マグネットテーブル方式】

ゲストの話を踏まえ、さらに深めてみたい問いがむくむくと生まれてきました。

そこで、自分が話したいテーマや問いを考え、それをもとにグループを作りました。体形移動をした後、えんたくんを囲んで、自己紹介、テーマの再構築をして対話をしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

「大学生から見た高校との連携について」
「学校全体でかつ持続可能な探究学習の体制を作るには」
「探究をジブンゴト化するには」

などのテーマが出され、時間が限られた中でも皆さん熱中しながら話し合っていました。

 

 

 

 

 

 

 

対話の成果は、プレゼンタープレゼンという方法で発表しました。

ふりかえりでは、A4用紙に個人で記入したのち、グループ共有しました。

 

 

 

 

 

 

 

「高校の普通科のあり方をもう一度考え直すよいきっかけとなった」「探究活動は一人では進められない。組織をしっかりと構築して、役割分担していく。その時、PDCAサイクルを回し、より良いものを目指し共有する」
などの感想がありました。

 

⑥クロージング

・ゲストから一言いただき、具体的なヒントをいただきました。

 

探究に対する様々な疑問や課題が浮き彫りになったオープンセッション。
おそらく参加者の皆さんは、モヤモヤした、疑問が次々と生まれてきたかもしれません。

しかし、探究に正解はありません。歩みを進めるたびに、小さな、もしくは大きな課題が表れてきます。

 

このみらいずカレッジを通して、
課題を分かち合い、インプットし、対話し、内省し、アウトプットし、振り返るというプロセスの中で、
探究活動を推進する知識やスキル、モチベーションが高まることを目指しています。

 

早速8月7日から本番のみらいずカレッジがスタートします。

皆さん、ぜひふるってご参加ください。

 

【小見 まいこ】

 

<みらいずカレッジ オープンセッションの開催概要>

【オープンセッション】探究学習に向けた“疑問”を探究する! 

日時:2019年7月27日(土)13:30〜17:00
会場:新潟経営大学 
参加者:25名(高校教員:管理職や総合探究の担当者、大学関係者、民間企業、大学生)
主催:NPO法人みらいずworks/新潟経営大学