【みらいzoom22】地域と学校の協働を阻む問題を「システム思考」で捉え直すと?
2019年06月13日 更新
「これまでの経験や思い込み、固定観念にとらわれていることに気づかされた」
「物事がつながっていて、少しでも考え方を変えることによって改善されていく」
「自分がこうでなければいけないと思っていたことが実は全く違う面からアプローチが可能なものかもしれないと気づいた」
これは、自分自身のメンタルモデルに向き合って出てきた声です。
メンタルモデルとは、出来事の根本にある、その前提となっている意識・無意識レベルの前提のこと。
ひらたく言うと、「色眼鏡」のようであり、私たちの経験や思い込み、固定観念と言えます。
私がメンタルモデルという考え方を知ったのは、「システム思考」という思考法を学んだ時のことです。
システム思考とは、複雑な状況下で変化にもっとも影響を与える構造を見極め、さまざまな要因のつながりと相互作用を理解することで、真の変化を創り出すためのアプローチです。問題の見えている部分を近視眼的・表層的にとらえるのではなく、全体像をさまざまな要素のつながりとして理解し、本質的な原因を見通して、他の分野や将来に悪影響を及ぼさない、最も効果的な解決のための働きかけを考えます。
実は、みらいずworksの行動評価の中にも、システム思考は項目として入っていて、
「様々な視点から問題の本質を捉え、課題設定・解決をする」というのは、大事にしている考え方です。
そして、6月に、新潟県教育委員会主催の「地域連携コーディネーター養成スクール」にて、
システム思考を取り入れた一日研修を実施してきました。
私に与えられたテーマは、
「理念と目的を共有し策略を立てるためのマインドセットと、現場で生きるファシリテーション」。
これは、システム思考しかないでしょうということで、
コーディネーターのみなさんに提案をしてきました。
ざっくりな流れは、
(1)ビジョンの共有 3年後、10年後の未来
・「自分」「先生」「こども」「学校」「地域」「住民」「市町村」「新潟県」「日本」「世界」
という観点からワクワクするビジョンを出し合いました
(2)熟議「これからの時代は、どんな地域と学校の協働が理想なのか?」
・理想とする協働は?
・そして、それを阻んでいる要素は何か、ダイアログしました
(3)システム思考「なぜ、理想とする地域と学校の協働が実現できないのだろうか?」
・システム思考の原理を理解するゲームをした後、
・簡略ループ図を作成しました。
難しいワークですが、皆さん唸りながらも問題の構造を模索してくださいました。
(4)策略の検討「システムに潜むメンタルモデルとレバレッチポイントは?」
・ループ図に潜むメンタルモデルを考え、
・策略となるレバレッチポイントのアイデアを出し合いました
(2)の熟議で、阻んでいる要素では、
管理職のリーダーシップ、
学校の敷居の高さ、
教員の多忙化、
地域の担い手不足など、よく聞く一般的な要素が出ていました。
でも、次のワーク(3)において、
システム思考で問題のシステムや根本を考えてみると、
そこには「できない」と思い込んでいたこと、
見えていないたくさんの構造や要因があること に気づいた方が大半のようでした。
システム思考の原則7つの中で、
私自身が特に大事にしているのは、以下の三つです。
◎人や状況を責めない、そして自分を責めない
(問題を引き起こしているシステムを責める)
◎目の前だけではなく、全体像とつながりを見る
◎働きかけるポイント(レバレッジポイント)をいくつも考える
とかく、先生が悪い、地域が協力的でない、など誰かのせいにしてしまいがちです。
でも、そこに潜む全体像や根本を見ていく人、
今だけでなく過去や未来、
部分だけでなく全体を考える人が増えれば、
今まで壁だと思っていたことが逆にチャンスだと思えたり、
協働する意義が改めて見出せたりするのではないでしょうか。
先進地を見てみると、やはり考え方が柔軟なキーマンがいらっしゃいます。
一人一人の考え方、問題のとらえかた次第で、
様々な関係者が力を出し合う協働の仕組みが自然とできると感じています。
今年も文部科学省コミュニティ・スクール推進員「CSマイスター」を拝命しました。
地域と学校の協働を促進する際に、システム思考の考え方も取り入れながら、
関わる皆さんが様々な視点から問題を見つめ、
根本的な解決策へとアプローチできるように、支援していきたいと思います!
新潟県教育委員会主催の「地域連携コーディネーター養成スクール」
日時:2019年6月5日・6日11:00~16:00 (240分)
対象:地域連携コーディネーター、教員 等 合計140名程度
場所:生涯学習推進センター、上越地域振興局
講師:みらいずworks 小見まいこ