【みらいzoom13】職場体験を見直そう〜課題解決型職場体験のはじめ方〜
2018年05月29日 更新
5月24日にみやざきキャリアフォーラム「どう変える!職場体験学習・出前授業」にコメンテーターとして参加させてもらいました。
とくに10数年たっても変わらない草創期の職場体験から
職場体験の学びの質を向上させていこうというのが大きなテーマ。
みらいずworksでも以前から、
中学の職場体験や高校のインターンシップの質を向上させようと、
地域課題解決型のプログラムの提案やサポートをしてきたので、
今回の参加は、非常に嬉しく職場体験を改革する機運を各地でつくるきっかけにしたいと考えています。
私からは、みらいずworksで企画や運営支援をしている
新潟県佐渡市の中学校で実施している「課題解決型職場体験(以後、KST)」の紹介をしました。
今まで暗中模索の中、佐渡市さんと一緒に進めてきた課題解決型職場体験。佐渡市の企業や先生が進めやすいようにとガイドも作成し、私たちの中でもノウハウや進め方のポイントが見えてきました。
以下、今回のキャリアフォーラムで紹介したものに一部追加して紹介します。
①【全体】首長部局と教育委員会が協働で推進
→首長部局より事業はスタート。学校への働きかけや調整は教育委員会が、企業開拓は首長部局の地域振興課が担当することで、学校・企業それぞれへの理解や協力の輪が広がる
②【全体】小中高校と見通しながらステップアップ
→市内の全ての小学校に「みらい’sノート」という地元学をベースにした夢を描くワークブックを配布。みらいをのびのびと描き表現する中で、安心安全な関係性の構築や自己肯定感を高める。高校ではさらなる探究活動やそれをサポートする大人のネットワークづくりを推進。KSTの入り口づくりや次なる学びの橋渡しへと結びつく
③【学校】教育課程において一貫したカリキュラムマネジメント
→前後の学びや他教科との関連などを見据えた3カ年のカリキュラムマネジメントがあって初めて効果の高い探究活動になる
④【学校】管理職によるフォローアップも含めた全校体制の構築
→校内研修を設定するなど、担当者だけでなく、管理職や他の学年の教員も理解し、全体で継続的に推進する仕組みをつくる
⑤【協働】企業と学校が参加する合同研修会を実施
→KSTの意義を企業担当者と学校関係者が共有し、当事者意識を醸成した後、生徒に示すミッションやプログラムなど具体的な進め方を確認する
⑥【普及】現場のキーマンが効果を語るスピーカーに
→行政が効果や意義を語るのではなく、すでに実施した校長や企業の経営者にKSTをやる意義や効果を実感を持って語ってもらう
まだモデル実施中で、平成31年度で佐渡市内すべての中学校で実施する予定です。
今年も4校のモデル校のみなさんと模索しながら、さらにブラッシュアップしていきます。
具体的な方法や進め方を知りたいという方は、
もう少しで佐渡市さんがHPに課題解決型職場体験ガイドをアップされる予定ですので、ご確認ください。
今回のみやざきキャリアフォーラムでは、
文科省のキャリア教育研修講師で福井県清川メッキの専務取締役の清川卓二さんの講演がありました。
そして、NPO法人スクールアドバイスネットワークの理事長で中教審の審議員もされている生重幸恵さんもご一緒させていただき、学びや気づきがあったので、下記で紹介します。
❶職場体験は「お願い」するのではなく、「共につくる」
清川専務からは、「学校は職場体験を企業にお願いしてはダメ。御社の社員や地域を良くするための取り組みです。一緒にやりましょう」と職場体験をやる意義や魅力を伝えてほしいとのこと。
10数年前、若手社員の離職率の高さから「メッキ教室」を学校で始めたそうです。自社の製品であるメッキを深く理解し、子どもたちにわかりやすく語る中で仕事への誇りを築く機会になったそうです。
まさに、会社にとってのキャリア教育。伝える文化、教える文化や方法を得るきっかけとなり、会社を救ったそうで、今では離職する若者はほとんどいないそうです。
清川専務のお話から「子どもたちへのキャリア教育は、社員のキャリア教育にもなる」と確信しました。
なので、学校の先生は申し訳なく思うのではなく、自信を持って、御社のためにもなるんですと言って良いんですね。
❷保護者の理解で「家庭のキャリア教育力」を高める
スクールアドバイスネットワークの生重幸恵さんからは職場体験に対する保護者の理解を引き出すことが成功の鍵になると学びました。
日々接している保護者のキャリア観や生き方・働き方に子どもたちは多くの影響を受けています。
子どもたちが職場体験先に向かうにあたり、自分がどんな気持ちで仕事をしているのかを語ってほしいです。付け加えるならば「私の考えだから、もっと多様な生き方・働き方を職場体験で見てきてごらん」と。
そして、子どもたちが職場体験先で見聞きしたことに対して、じっくり耳を傾けたり、自分の経験談を話したり、将来どんなことを大切に生きていきたいのかを問いかけてみてほしいです。それは、きっと大人である保護者にとっても自分自身を見つめ直すきっかけにもなると思います。
つまり、職場体験が保護者にとってもキャリア教育になりうるということですね。
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宮崎県がこれから取り組む戦略発見型職場体験は、探究+協働がキーワードだそうです。みらいずworksの目指す職場体験と同じです。
受け身で一方向の職場体験が、
探究と協働の学びのプロセスを組み込むことで、
そして、産官学が協働して推進していくことで、
子どもたちに、これからの社会を生きていく力を育む機会になり得るのです。
そして、それは、
企業、家庭の教育力を高めることにもつながります。
ぜひ、豊かな学びが生まれる、三方よしの職場体験を共に推進していきませんか。