【みらいzoom5】社会に開かれた教育過程をつくるために、やるべきことは?
2017年08月01日 更新
平成29年7月22日(土)、新潟大学教職大学院主催の「にいがた教育フォーラムin July 2017」に、
シンポジストとして参加してきました。
シンポジウムのテーマは、
社会に開かれた教育課程の実現に向けて― 新学習指導要領の目指す理念について語り合おう ―
シンポジストは、小見以外に、
新潟市立亀田小学校長 田邊 裕一さん、
新潟市地域教育コーディネーター(新潟市立西内野小学校,内野中学校)山岸 則子 さんでした。
まず、「社会に開かれた教育課程」に関する話題提供が大学側からなされました。
なぜ,「社会に開かれた教育課程」の実現が求められているのかについての説明に続いて、どのように「社会に開かれた教育課程」を実現していくのかを考えるにあたり、以下の4つの視点が示されました。
① 教育課程を介して,「よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創る」と
いう目標を社会(地域)とどのように共有し,連携・協働していくか。
② 教育課程において,育成を目指す資質・能力をどのように明確化し育んで
いくか。
③ 教育課程の実施に当たって,どのように地域の人的・物的資源を活用したり,
社会教育と連携したりしていくか。
④ 教育課程の実施に当たって,「次世代の学校・地域」創生プラン(馳プラン※)
をどのように踏まえていくか。
その4つの視点をふまえて、シンポジストからの話題提供です。
みらいずworksからは、自分軸と社会軸を育てるキャリア教育の推進の具体的な取り組みとして、
佐渡市における課題解決型職場体験の支援についてお話ししました。
この事例における、社会に開かれた教育過程におけるポイントは、
企業側が「学校に頼まれたから職場体験を受け入れる」という受け身ではなく、主体的に参画しているという点です。
課題解決型職場体験を推進するために、
企業の担当者と学校の担当教員・管理職は、事前に合同研修を実施しています。
「こんな子どもたちを育てたい」という目標を共有し、職場体験を通して育みたい力を考えます。
その後、企業から提示されるミッションやプログラムを教員も一緒につくっていきます。
その中で、関係性が育まれ教育を共に担う「パートナー」であるという意識が醸成されます。
これこそが社会に開かれた教育過程の肝ではないでしょうか。
*子どもたちをこう育てたいという最終的なビジョンや目標を共有する
*事業の意義と企業側の課題をリンクさせる
(離職率を下げる、佐渡の人材育成、担い手不足の解消等)
*子どもたちの課題を共有し、社会で受け入れる側の教育的視点を明確にする
(子どもたちの背景や伸ばすべきところなどの理解)
という点を意識して地域と学校の協働関係づくり=パートナーづくりに関わっています。
話題提供の後は、雲尾周准教授のコーディネートで、各シンポジストの話題提供について意見交換や質疑応答したりしながら,シンポジウムのテーマ「社会に開かれた教育課程の実現に向けて」学校と地域ができること,やっていくこと,やるべきこと(方策等を含む)等について考えていきました。
話題として上がった一部を共有します。
*小中9年間を見通して、カリキュラムマネジメントするという視点が求められる
*教員の多忙化を解消することが社会に開かれた教育過程の実現には必須
*子どもたちを核において、子どもたちの未来のための教育過程であることを忘れてはならない
*子どもたち自身もPDCAを回しながら、活動を社会にきちんと認められていく、評価してもらうことが子どもたちの達成感やまたやりたいという気持ちにつながる
などなど。
改めて思うことは、社会に開かれた教育過程をつくるのに正解はないということ。
その学校や地域に応じて、教育過程は違うからです。
だからこそ、子どもたちの実態や地域の課題に寄り添い、その学校や地域で必要なことを熟議し、
作り上げていくことが、今、求められています。
私自身は、「社会に開かれた教育過程」をつくることのキーワードは、
「自分ごと化」だと考えています。
関わる大人一人ひとりが、地域の課題、学校の課題を自分のこととして捉えていくということです。
そのためには、十分に対話する熟議を積み重ねながら
・目的と目標を丁寧に共有する
・地域や子どもの課題を正確に捉えて、分かち合う
・ふりかえり、学び続ける
ことが不可欠です。
社会に開かれた教育過程については、今年度と来年度、取り組んでいく学校が多いと思います。
オンリーワンの教育課程づくりは大仕事ですし、今後の学校と地域の協働をつくる上でも重要です。
みらいずworksも、一緒に考え、熟議の運営や計画づくりでサポートしていきたいと思います!
※「次世代の学校・地域」創生プラン(馳プラン)(平成28年1月25日)とは,
3答申を3本の矢とした,学校と地域の一体改革による「次世代の学校・地域」創生プランのこと。
3答申とは,平成27年12月21日に出された3つの中央教育審議会答申
・地域と学校の連携・協働に向けた改革(コミュニティ・スクール,地域学校協働本部)
・学校の組織運営改革(「チーム学校」に必要な指導体制の整備)
・教員制度の一体的改革(子どもと向き合う教員の資質能力の向上)