【みらいzoom4】教員の働き方改革がもたらすものとは
2017年07月03日 更新
文部科学省の松野大臣が6月22日に、教員の負担軽減に向けた「働き方改革」を諮問しました。
これから専門部会で業務の見直し、家庭や地域・行政期間との連携などを検討し、年末には一定の取りまとめを公表する予定だそうです。
いよいよ、国を挙げて、教員の働き方改革が本格化します。
昨年出された、平成28年6月に「学校現場における業務の適正化に向けて」という通知では、
改善方策として以下の4つが示されました。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/uneishien/detail/1372315.htm
1:教員の担うべき業務に専念できる環境を確保する
2:教員の部活動における負担を大胆に軽減する
3:長時間労働という働き方を見直す
4:国、教育委員会の支援体制を強化する
学校現場では、日々の教育活動に加え、特別支援の必要性やいじめ防止の取り組み等、
待ったなしの課題が山積みの状況です。
そして、次期学習指導要領の実施や入試改革に向けて、
「社会に開かれた教育課程」の実現に向けたカリキュラムマネジメントや
主体的・対話的で深い学びづくり、地域と学校の協働体制の確立などなど、
学校の教員に求められることはますます増加していきます。
私自身、新しいことを始めるには、
*やる目的や目標、計画を明らかにする、
*新しいことに関する情報収集や学びをする、
*何かを辞めて時間を確保する、などしてやるための準備をし、環境を整えます。
同じように、新しい学習指導要領に向けて、
それを始めるための環境を整備することは必要で、
教員の抜本的な働き方改革は鍵となります。
ちなみに、
新潟県では、平成29年度の重点方針に
教員の働きやすい環境の整備があげられており、
多忙化解消のために出退勤の管理による業務の見直しと
部活動運営の適正化を柱とし、取り組みを強化しています。
とくに中学校では、部活動の在り方が重要ととらえ、「運動部活動在り方検討委員会」が設置され、
本件独自のガイドラインが今後作成されるそうです。
http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/396/531/nyusu30.pdf
具体的な方策についての考察は、ここでは割愛しますが、
教員の働き方改革がもたらすものとは何かについて考えてみました。
1:教員の学びが充実し、授業が面白くなる
働き方が変わり、時間が生まれると、以下の時間が増えると期待できます。
・教員が子どもたちと向き合う時間
・教員が学び合う時間
・教材研究や授業改善にあたる時間
・地域や社会に飛び出し、ネットワークをつくる時間 などなど
先日、みらいずカレッジ開催のご案内をしたところ、
「学ぶ必要性を感じている。自分の中で枯渇しているけど、部活があって学ぶ時間もとれない」
「授業改善したいけど、先輩の先生から教えてもらう、教材研究をする時間も余裕もない」
「部活が終わったらヘトヘト。授業準備をする時間と体力がない。廊下で歩きながら次の授業の構成を考えているんだよ」
とおっしゃる先生方がいました。
教員の役割の中核となるのが授業運営です。
授業にもっとパワーと時間をかけられるようになり、
先生が学び、研究し、語り、分かち合う時間を十分つくることができれば、
先生の授業にかける情熱や授業力はさらに高まるのではないでしょうか。
先生が情熱や楽しむ気持ちを持って授業をつくれれば、
きっと子どもたちたちにも伝わり、「学びって楽しい!」と思ってくれるはずです。
2:SOSの共有で、家庭と地域の教育力が高まる
働き方改革を実現するには、保護者や地域の理解や参画は欠かせません。
今年度からコミュニティスクールの設置も努力義務となり(※)、
保護者と地域が学校の担ってきた負担や役割を共有し、
学校教育を共につくっていくことが求められていきます。
6月17日のみらいずカレッジキックオフでは、
「先生がSOSを発信する」ことがキーワードになりました。
http://miraisworks.com/1188(←報告レポートです!ぜひご覧ください)
部活動の指導、
学習サポート、
職場体験への協力、
部活動以外の学ぶ受け皿づくり、等々
学校がSOSを発信すれば、
保護者や地域でできるよ!やりたい!という人があらわれます。
そのためには、FACE TO FACEでの対話(熟議)を通して、
何のためにやるのかという目的や育てたい子どもたちの力を共有したり、
実際に困りごと(SOS)を共有することをオススメしたいと思います。
新潟県内の中学校では、
生徒、教員、保護者、地域で
学校や地域の未来を語る対話の場がじわじわと広がっています。
「こんな風に地域の方が子どもたちのことを思ってくださっていることを知って心強いし、
もっと頼っていきたいと思った」という先生。
生徒たちは、「地域の人が見守っていてくれることを知り、嬉しかった」
「今まであいさつ運動は学校前だけだったけど、地域にも飛び出していってやることにします」
など対話を通じて、刺激を受け、行動に移します。
そのような過程の中で、子どもたちを育む大人たちの関係性や気持ちが高まります。
加えて、どんな風に子どもたちに声がけすれば良いのか、子どもたちは今どんなことを考えているのかを知り、子どもたちに対する具体的なアプローチ方法や関わり方を大人たちは学びます。
その積み重ねで、家庭や地域の教育力が高まっていくのではないでしょうか。
3:大人の関係性ができ、社会に開かれた学び(教育課程)が実現する
1と2で述べてきたように、
先生が学校内で学び合う同僚性を築き、
地域や家庭、社会とのつながりが持てれば、
その分、子どもたちの学びは豊かに、社会に開かれたものになっていきます。
つまり、社会に開かれた教育課程を実現するには、
先生が社会に開かれた存在になることも重要ではないでしょうか。
そのためには、先生の時間の確保、
教員の働き方改革は、必要不可欠です。
とくに、中学校、高校においては部活動の位置付けや教員の役割の見直しは欠かせません。
新潟県見附市では、県内初で部活動の外部顧問が配置されました。
このような取り組みをどんどん推進し、
他の市町村でも見直しの施策が進むことを期待しています。
みらいずworksでは、
今後、コミュニティスクールに向けた協働の場づくりを進めるとともに、
「地域協働プロフェッショナル教員」育成プログラムも開発中です。
新たな取り組みや仕組みづくりだけでなく、
先生方の具体的なSOSにも応えて参りますので、ぜひお気軽にご相談ください!
(※)文部科学省では、コミュニティスクール(以下、CS)を推進しており、
学校運営協議会の設置の努力義務化やその役割の充実などを内容とする、
「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の改正が行われ、
平成29年4月1日より施行されました。